時代を先取りし
  常に成長し続ける会社に

株式会社阪急阪神エクスプレ代表取締役社長
KAZUHIRO TANIMURA
会社に対する想

関わる人々の想いも込めて貨物を届ける

阪急阪神エクスプレスは、1948年に国際物流事業(フォワーディング事業)を開始し、2009年の経営統合を経て現在の姿となりました。私たちは『グローバルに価値をつなぎます』という経営理念のもと、貨物輸送だけでなく、お客様や物流プロセスに関わるすべての人々の想いを、お預かりした貨物に込めて届けるよう努めています。世界中のすべての社員が、そのような姿勢を持つことで、どんな状況でも滞りない物流を実現することができ、加えて社会やお客様から必要とされる会社になれると考えています。

私たちの事業環境を見渡すと、2020年に新型コロナウイルス感染症が世界中を襲い、国内外の物流にも大きな影響が生じました。島国である日本は、食料や衣服、電気機器といった生活必需品や、ワクチンを含む医薬品など多くのものが海外からの輸入によって支えられているため、コロナ前と変わらない社会を実現するためには、フォワーダーの使命を全うすることが不可欠でした。その中で、当社は『とめない物流』というスローガンを掲げ、社員の感染リスクを最小限に抑えながらも、「お客様にとって必要なものを必要な時に届ける」という使命を果たすことに総力をあげて取り組みました。特に、国際旅客便の多くが欠航している中では、チャーター便の手配や*BSAを積極的に活用するなど、当社の強みである航空会社との結びつきを最大限活かすことができたと感じます。コロナ禍での物流対応は決して容易ではありませんでしたが、改めて国際物流の重要性や、お客様が物流に抱く強い期待を認識できました。

*BSA: Block Space Agreementの略。航空会社から一定期間のスペースを買い取る契約のこと。ブロック・スペース契約とも言う。
未来に対する想

時代の変化に応じて新陳代謝を図る

時代とともにフォワーダー業界に求められることも変わっています。例えば、これまでのように貨物を目的地まで届けることはもちろん、プラスアルファのソリューション提案、いわば付加価値の創出が求められています。加えて、貿易手続きのデジタル化が加速しており、将来的に国や地域を問わない通関手続きが可能になるなど、業界内の競争環境が一変する状況下で、当社も未来への一手を積極的に投じていきます。

経営面の取り組みとしては、海運事業とロジスティクス事業の強化に加え、日本発着だけではなく海外間での輸送拡大など収益構造の改善に努めています。部門の垣根を超え、国内・海外含めた組織全体で連携することで、できる限り多くの貨物を世界中へ届けていきます。また、長期的には、*越境EC物流への参入や、次世代モビリティー(EV化)物流の確立、将来的な発展が期待されるアフリカ・中東・インドの事業拡大といった新たな成長領域への挑戦も進めていきます。創業者である小林一三翁が、鉄道事業を軸に不動産事業や百貨店事業の展開など、さらなる企業の発展を志して経営基盤の多角化を図ったように、当社も将来的に収益の柱となるような事業を創出することで、時代を先取りしていきたいと思います。

一方、組織面の取り組みとして、働き方や組織構造の改革にも積極的に取り組んでいます。具体的には、*AI-OCR・RPA導入によるデジタル化の推進や、テレワークの推進、育児・介護などライフステージの変化への対応など、制度面の充実や働きやすい環境づくりに注力。関連して、これまで以上に社員一人ひとりのアイデアを経営側が吸収できるよう、組織構造をシンプル化することで、意志伝達のスピードと正確性を高めています。現場の発想や疑問こそが組織を成長させる糸口になるため、経営と現場間のコミュニケーションも大切にしていきたいと考えています。

*越境EC: インターネット通販サイトを通じた国際的な電子商取引のこと。

*OCR/AI-OCR: 画像データからテキスト部分を認識し、文字データに変換する光学文字認識機能のこと。AI-OCRは、AIの特徴であるディープラーニング(深層学習)により文字の補正結果を学習することで、従来型のOCRの弱点であった識字率(文字の認識精度)を向上すること。
学生への想

木を見て森を見れる人材に

私たちの仕事の醍醐味は、あらゆる輸送手段を用いて、お客様が抱える課題やニーズに寄り添えることだと思います。そうして物流を繋ぐことが、より良い社会生活や企業活動の実現に寄与すると考えています。当社にはチームで課題解決力を発揮できる社員が多く、台風や地震、コロナ禍といった予測困難な状況が続く中でも、『物流をつなぐ』という使命を掲げ、『とめない物流』を実現しています。その姿勢は時代が変化しても、普遍のアイデンティティとして次世代に受け継いでいきたいと強く思います。

当社が標榜する『グローバルに価値をつなぐ』、そして『とめない物流』を実現した先にこそ、人々が不自由なく、当たり前に暮らせる社会の実現があると考えています。そのために、まずは社員一人ひとりが自らの責務やお客様から求められたことにしっかりと応えることが重要です。私も若手時代、お客様との約束を守ることや、お客様の期待を超えられるよう努力することを心がけていました。その積み重ねが、現在の自分を形づくっていると考えています。ただ、時代の変化とともに、それだけでは足りなくなっているのも事実です。今後は、「木を見て、森を見れること」も必要不可欠な要素。ただ自分の仕事を行うのではなく、自らの業務が会社という組織にどのような影響をもたらすのかを考え、より俯瞰的に物事を捉えていただきたいと思います。働く環境ももちろん重要ですが、それ以上にご自身がどのような考えや意思を持って働くかが大切だと感じます。だからこそ、どんな状況でも自分が物流を繋ぐという使命感や、自分が会社を変えるという熱い想いを持って仕事に臨んでいただきたいです。高い志を持った皆さんとの出会いを楽しみにしています。